自分が就活をしていた頃、
企業が欲しい人材は、「コミュニケーション力」がある人でした。
これは、今もさほど変わっていないでしょう。
でも、この「コミュニケーション力」って、いったい何なのか?
疑問に思い始めたのは、仕事をして、暫らくたった頃でした。
それは、日本で(重宝される)「コミュニケーション力」とは、非常に協調性を重視しているのにも関わらず、
なぜか、求めるものは、自主性だったりします。自分の意見をしっかりと論理的に言える人
が求められているのに、現実では、相手と協調出来て、角がないコミュニケーションが
評価されている。これを著者は、ダブルバインド(二重拘束)と言っています。
つまり、あべこべです。言っていることと、実際って、違うでしょ!ってことです。
だから、少なくない人が、コミュニケーションに、期待をしなくなります。
平田氏は、「いまの子どもたちには、この「伝わらない」という経験が、決定的に
不足しているのだ。」と言います。まさに、その通りだと思います。こちらが、誠心誠意、心を込めて、
相手に伝えても、それが、相手に伝わるとは限らない。
コミュニケーションとは、案外そんなものだと思いますし、それが、本質なんだと思います。
今は、伝える技術ばかり喧伝されていて、本質的なことを、教えていないし、なかなか経験出来ない
環境にあります。だから、「自分には関係ないし」という、言葉が、若い人から、よく発せられるのではないか
と思っています。
もともと、コミュニケーションって、面倒くさいし、伝わらないことの方が、伝わるよりも圧倒的に多い、
これがわかっていれば、他者と話す上でも、非常に有益なようが気がします。
この本を読んだからって、もちろん「コミュニケーション力」は上がらないですが、そもそも、
コミュニケーションを、能力として、捉える事自体に無理があるんだと、よくわかります。
コミュニケーションは、他者と関わる手段です。道具と捉えている今の風潮は、やはり、
嘘くさいような気がします。
- 感想投稿日 : 2017年6月6日
- 読了日 : 2017年6月6日
- 本棚登録日 : 2017年6月6日
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