大学時代に齋藤先生の『読書力』を手にとったことを思い出しました。
読書を人に勧めるのは、非常に難しい。
読書は、非常に個人的なこと、かつ、その時の自分の状況によって、
読む本もさまざまなので、自分にとって、面白い本が、
他人にとって面白いケースは、かなり稀有だと思う。
また日本社会では、「私は本が好きです」というと、
「インテリを気取っているんじゃねーよ」
「金を稼いでから、モノを言え」みたいな空気が存在する。
だから、ほとんどの本好きは、
「読んでないふり」をしなければいけない。
学校で、優等生が、勉強していないふりをして、
学校生活を送らないといけない感じかもしれない。
齋藤先生のような大学教授の身分でないと(皮肉ではないですが)、
読書のススめは、なかなか難しい。
今は、SNSがあるので、自分が読んだ本の中で、
「これは!面白い!」というものを、簡単に発信することができる。
反応があり、色々な本好きの方がいるんだなということが、
わかって、個人的には、今の状況は、満足している。
先生は、結構な労力を使って、
日本の読書人口の増加と質を向上させることを
実践されているが、ネット、スマホ、SNSが爆発的に普及した今の社会では、
実現することは、難しいと思う。
なぜなら、気軽に慰められるものは、今の社会では、
溢れすぎている。齋藤先生の学生時代は、やはり娯楽が少なく、
情報媒体も少なかった。だから、本というメディアの価値が今よりも、
圧倒的に高かったと思う。
14年に行った調査によると、
漫画や雑誌を除く1か月の1人当たりの読書量は、
1.2冊→34.5%
3.4冊→10.9%
5.6冊→3.4%
7冊以上→3.6%
読まない→47.5%
になっている。
この統計から8割ほどは、ほとんど本を読んでいないことがわかる。
よく読む人は7%。
読む人と読まない人が、はっきり分かれる状態になっている。
これから、ますます読む人と読まない人の読書量の開きが、
広がっていくだろう。
「本を読めば、何か言いことありますか」、
「コスパいいですか」と言われても、
そう考えること自体、本を読み続ける上では、絶望的にダメなことなので、
「なら、読まない方がいいですよね」と言ってしまいそうである。
- 感想投稿日 : 2018年3月18日
- 読了日 : 2018年3月18日
- 本棚登録日 : 2017年7月5日
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