マンガで分かる心療内科 依存症編(ネット・スマホ・ゲーム・ギャンブル・ポルノ) (ヤングキングコミックス)

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  • 少年画報社 (2016年11月28日発売)
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スマホで、当たり前のように、
好きなモノを買って、好きな音楽を聴いて、
好きな映像を見て、気になるニュースを見る。

また、毎日、膨大な量の、ありとあらゆる広告を見る。
無料を唄うゲームがあって、
簡単にダウンロードできて、
たった数分で、新しいゲームを遊べる。
どのゲームにも、基本は、終わりはない。
ずっと、遊び続けることができる。

また、簡単にスマホでポルノ画像や映像も見ることができます。

スマホは、トータルな娯楽を、私たちに提供してくれます。
スマホが登場するまで、私たちは、わざわざ、娯楽を提供する
人、場所に行っていましたが、今は、24時間、どんな場所でも、
ネットが繋がれば、最高の娯楽を楽しむことができます。

スマホを手にとり、
気づいたら、数十分、数時間が経っていた、
そんな経験は誰にでも、あるのではないでしょうか?

スマホは、自分達の自己承認欲求を簡単に満たしてくれます。
これだけ、短期間に全世界に普及したモノは、
未だかつてありません。恐るべきスピードで、
世界に普及しました。

単にスマホが、便利だからというより、
もっと、根源的な理由、それは、良い意味でも、
悪い意味でも、スマホが、人間に影響を与えるものだからでしょう。

個人的には、スマホは、アルコールや麻薬と同じように厳しく規制する
対象にすべきだと思います。

私たちは、薬物をどう扱うかに関して、長い歴史をかけて、
また、さまざまな争いや失敗を経験して、どう付き合えばよいのか、
その対象の社会との距離感を、法律や規制を施行することで、
社会での市民権を得てきました。

しかし、スマホに関しては、今だに、それと、どう付き合ってよいのか、
判断できないでいます。スマホは、私たちの生活を変えるもの、
もっと便利にしてくれる、そして、より豊かな社会を築く上で、
なくてはならないものとして、これから、どんどん、その重要性が、
増していくかもしれません。

スマホは、それが自分達に与えるものは「情報」です。
情報は、決まった形がなく、重さもありません。
また、どういうモノなのかも千差万別です。
どういう情報が、どれぐらい人間に影響を与えるのか、
その包括的な研究は、今始まったばかりです。

負の例をあげると、
ゲーム依存症と思われる未成年者の脳と健常者の脳を比べた所、
脳に可逆性の変化が発見されました。
この変化は、前頭前野の広範囲に及び、
意思や記憶をつかさどる能力が、
一生涯元通りにならないことを意味していると言います。

またSNSの使用時間を調査した所、
小学生から中学生の中で、SNSに多く時間を使えば使った人ほど、
成績が悪かったという研究があります。
では、SNSの時間を少なくすれば解決するかというと、
そう簡単なことではなく、
長時間SNSを使用した被験者の脳の海馬(記憶をつかさどる)の発達が遅れているという
衝撃的な結果が発表されています。
このような状態になった脳が果たしてこれから健全な発達が可能かは、
今はよくわかっていません。

一日数時間勉強して、その記憶が、
一日2時間のスマホで、「消される」という研究もあります。
勉強の気分転換にスマホで遊んでいたのに、
気分転換どころか、成績を下げる元凶になっている、笑うに笑えません。

以前、アヘン=麻薬は、疲れがとれる、良い気分になれると言われて、
多くの人が手にしました。その害が、あまりわかっていませんでした。
正確にいうと、その依存性はわかっていました。

アヘンは、一気に世界に広まり、多くの人が、アヘンに手を染め、
不幸な人生を歩みました。ある国は、国がアヘンで崩壊し、
戦争にまで、陥りました。
この状況って、今のスマホの普及とかなり似ているのではないでしょうか。

情報が、どう私たちに影響するのか?
おそらくは、とんでもなく影響を与えるものだと思います。
良い影響なら、全然いいんでしょうか、
悪い影響ではないかと思います。
その「影響」がどれほどのものなのか、
どれくらいの代償を必要とするのか、
正直、恐ろしくて、考えることができません。

好きなモノをひたすら享受できるスマホは、
現代のアヘンになっているでしょう。
好きなモノをひたすら享受できるようになった人間は、
果たして、幸せになれるのか?

何を食べるかについて、気をつける人はたくさんいますが、
何を見るか、知るか、聞くか、つまり、情報に関しては、
それほど気をつけません。

どちらも、カラダに直接入れるモノにもかかわらずです。
もう少し、私たちは、情報に関して、気をつけて扱って、
採り入れた方が良いかもしれません。

この本は、依存症になった人、なりそうな人に関するガイドラインですが、
実際、日本では、スマホ依存含めて、それほど問題視されていません。

これから、勉強するにも、仕事するにも、何をするにも、
よりより人生を築く上で、
スマホと、どう付き合っていくかが、
私たちの人生上での、最重要課題だと思います。
これは、決して、言いすぎではないと思います。

最低限ですが、スマホ使用のガイドラインとして、以下5点を上げます。

①スマホを使用しても、自分の人生や生活を良くするモノは基本、得られない
②スマホを使用することが、自分の貴重な時間を、どんどん奪うことにつながる
③スマホを使用することによって(SNS、ゲームなど)自分の人生が破壊されることがある
④スマホで知りえた情報は、自分が5感を使って得た情報より、はるかに劣る、価値がない情報が圧倒的に多い
⑤一日2時間以上、SNSやゲームを使うと、脳の発育に悪い可能性が指摘されている。
また、成人になった人に関しても、正の影響より、負の影響の方が、圧倒的に多いと認識した方がよい。
できれば、スマホ使用時間(仕事上で使う以外を除き)は、毎日1時間以下とする

上記に関して、反論はいくらでもできると思いますが、スマホに過度の期待をしない、
できる限り、使用時間を減らしていくことが、今の私たちに求められていると考えています。
言い換えれば、思考する時間、想像する時間、誰かと一緒に楽しむ時間、
実行する時間、この時間を、如何に能動的に獲得するかが、
よりよい人生を築く上での、キーとなると思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年11月1日
読了日 : 2018年11月1日
本棚登録日 : 2018年11月1日

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