オオカミ族の少年 (クロニクル 千古の闇 1)

  • 評論社 (2005年6月23日発売)
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感想 : 176
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児童書のカテゴライズ(図書館の棚も児童書だったけど)大人が読んでも充分楽しめる重厚な物語。表紙の酒井駒子さんの画も、雰囲気があって素敵だし。
分厚さに躊躇していたのが悔やまれる。


物語の舞台は、いまをさかのぼること6000年前(!)
北ヨーロッパの針葉樹の森を彷彿とさせる、古代ファンタジー。
冒頭から、一人深い森に放り出されるかっこうで「万物の精霊の山」を目指すことになったトラクは弱冠12歳の少年。
山を目指すことになる前は父親と二人、人里離れた山奥で狩りをして暮らしていたものの、まだまだ知らないことのほうが多い子供だ。
一人で山を目指さなくてはならなくなった原因も衝撃的だけれど、
トラク少年が理由もわからず、けれど立てた誓いを守るためにひたすら山を目指す心境は、同じく理由を知らない私たち読者とて一緒で、だからトラクの行く末に待ち受ける運命に、彼と同じ気持ちで臨めるのだと思う。

秋から冬へ移ろう森をはじめとする自然の美しい描写。
そこを駆け抜ける獣たちのしなやかな姿。
梢でさえずる鳥たちの歌声。
旅の案内人そしてトラクの数少ない友人となるウルフの独特の言い回し。
どれもこれもが、その世界で息づいているかのような文章もとても魅力的。
全6巻だけれど、この1冊でひとまず一件落着はしているので、これだけ読んでも充分楽しい。
まぁ私は、これから図書館に行って続きを借りてくるつもりだけれどねっ♪

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本・児童書
感想投稿日 : 2012年11月7日
読了日 : 2012年11月7日
本棚登録日 : 2012年11月7日

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