明治維新 1858-1881 (講談社現代新書)

  • 講談社 (2010年1月19日発売)
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感想 : 34
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明治維新を柔構造という視点で見つめなおし、新たな評価をするという内容。視点は非常に面白いのだが、歴史を題材にしているという点では、あまりその背景には深く入っていないため、正直、良く分からなかった。おそらくある程度の知識を持っている前提で読むと面白いのだろうが。。。
何よりも「なぜ、そのような構造になったか」という点に対しての深堀りができていなかったことが、期待値から外れていたというのもあるかもしれない
正直、これらの事象は「偶然が積み重なった結果」ではないだろうか。事実、この柔構造は国家の目的や成し遂げるスコープが明確になった時点で、硬化してしまっている。
また、この著書では漱石の嘆きを悲観的とし、困難を乗り越えた偉業としている。この点がどうにも違和感がある。なぜか。漱石は「未来に対して悲観」しているが、著者らは「過去を評価」している。見ているものが異なるのだ。この点は漫画の「坊ちゃんの時代」で読み解けよう。漫画では新たな価値観の象徴である幸徳秋水を政府が抹消してしまう。そこに柔構造は影も形もない。
結局のところ、明治維新は育った土地、留学先等で得た様々な価値観を持ちながらも、日本を立て直すという共通の目的を持った人々が絶妙なパワーバランスのもと成し遂げた奇跡なのかもしれない。だが、その後に待ち受けられたのは柔構造を捨てた硬化構造?だ。そして、その、明治に作られた構造のまま現在に至っている、という事実。
著書らの掲げる「柔構造」は非常に面白い視点だ
これを現在においてどう実現していくかは、重要なキーに思える

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2017年10月9日
読了日 : 2017年10月9日
本棚登録日 : 2013年1月13日

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