さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 7-2)

  • 早川書房 (1976年4月1日発売)
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感想 : 87

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『さらば愛しき女よ』
著者:レイモンド・チャンドラー
訳者:清水俊二
装幀:辰巳四郎
発行所:株式会社早川書房
初版発行:1940年
発行:1976年 ハヤカワ・ミステリ文庫
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レイモンド・チャンドラー(1888〜1959年)
アメリカ文学に多大なる影響を与えた
レジェンドであり、私立探偵フィリップ・マーロウを
主人公としたハードボイルド探偵小説を生み出した。

日本では村上春樹が翻訳したことでも知られる。
そんなレジェンド、チャンドラーであるが
小説を書きはじめたのは44歳と遅咲きだが、
長編第1作目『大いなる眠り』は
『三つ数えろ』と改題され映画化された。
主人公フィリップ・マーロウを演じた
トレンチコート姿のハンフリー・ボガートの
いぶし銀な姿も相まって「ハードボイルド」という
男の矜持を世に知らしめた。

本書は、
そんなチャンドラー2作目の長編小説となっている。
刑務所から出てきたばかりの大男、"大鹿"マロイは、
別れた恋人ヴェルマを探しにセントラル街を訪れた。
だがそこでマロイは再び殺人を犯し逃亡してしまい、
その現場に居合わせたフィリップ・マーロウは
取り調べを受けることになる。

その後、
別の依頼を引き受けたフィリップ・マーロウは
その依頼中にまたしてもトラブルに見舞われる。

はじめてのチャンドラー小説だったが
彼に影響を受けた村上春樹の初期作品
『風の歌を聴け』に見られるような、
洒落た言い回しやジョークを
ふんだんに用いた台詞や会話を楽しむのが本書の、
いやチャンドラー作品の魅力の1つだろう。
特に美女とフィリップ・マーロウの
男女としての駆け引きの場面ではそれが顕著だ。

ふたたびの殺人を犯した
大鹿マロイはどうなってしまうのか?
そのマロイの別れた恋人ヴェルマはどこにいるのか?
私立探偵フィリップ・マーロウが
ウィスキーを飲み紫炎をくゆらせ、
事件解決へと奔走する。
ネタバレは回避するが、
結末はタイトル通り、
まさしく『さらば愛しき女よ』にふさわしい
内容となっている。

男と女の悲哀、
これもまさしく「ハードボイルド」に
必須な要素なのだ。

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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 推理篇
感想投稿日 : 2024年3月28日
読了日 : 2024年3月16日
本棚登録日 : 2022年12月21日

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