「わたし」、ユリコ、和恵、ミツル、チャン、全員が記憶を捻じ曲げてでも自分を正当化する。ひょっとすると自分の存在意義を保とうとするあまり壊れていく過程が痛々しい和恵が、最も普通の人に近いのかもしれない。堕落する様は壮絶そのものだが。
人の心に無関心なのに人の心を掻き毟る者をグロテスクな怪物とするならば、最も「グロテスク」な怪物は百合雄なのかもしれない。
決して読んでいて楽しい娯楽作ではないが、娼婦の内省を深く推察する筆者の洞察力は一読の価値あり。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文学
- 感想投稿日 : 2014年7月27日
- 読了日 : 2014年7月27日
- 本棚登録日 : 2014年7月21日
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