この世界を知るための 人類と科学の400万年史

  • 河出書房新社 (2016年5月14日発売)
3.97
  • (11)
  • (15)
  • (6)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 305
感想 : 20
4

科学は「エウレカ!」の連続で跳躍進歩したわけではなく、先人の知恵の蓄積と否定から一進一退そしてJUMPして発展した。科学の歴史が体系立って非常によく纏まっており、人類が科学によってホモ・サピエンス「・サピエンス」になっていったかが解る。ヨーロッパにおける、アリストテレスの知の再発見による暗黒時代から中世への移行、そしてアリストテレスの否定による中世から近代への移行は人類の奇跡といってもよいかもしれない。

ガリレオ、ニュートン、ダーウィンなど何れも卓越した天才たちが登場するが、個人的にはメンデレーエフの元素周期表が(のちにボーアにより修正されたが)予言めいた神の所業のように感じる。またアインシュタインを「相対性理論」ではなく「光電子効果」の人物として取り上げ「量子論の反対論者」として位置付けているのがユニークだ。アインシュタインの三大論文も人間の感覚に反するが、ボーアやハイゼンベルクの量子論はそれ以上にアインシュタインの感覚に反していたのだろう。天才も人の子、「神はサイコロを振る模様」ということか。

400万年史を謳うわりには第3部まるまる量子論なのは、著者の専門分野であるからだろう。まぁそこはご愛敬。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 学術/思想
感想投稿日 : 2019年10月16日
読了日 : 2019年10月16日
本棚登録日 : 2019年10月7日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする