イスラーム国の衝撃 (文春新書 1013)

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  • 文藝春秋 (2015年1月20日発売)
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ネットや新聞の解説記事を含めて、イスラム国やイスラム社会の現状について体系的に説明されたのはこの本が初めてだ。

過激な映像などでグローバルな存在として注目されているが、結局は部族間、地域間、宗派間の争いを行っているに過ぎない。

イスラムにはどの宗派にも多数の穏健派と少数の過激派が存在するが、教義上は後者も(の方が?)正しいため、後者を抑えるためには中央集権的強権政府が必要となり、更にそれが過激派を生み出すという悪循環となる。
教義上、政(軍)教が分離されておらず、異教徒を武力で制圧することが正当化されるためだ。

現状を打開するのに非イスラム国家ができることは(余り騒ぎ立てないこと以外には)殆どなく、イラン、エジプト、トルコといった地域大国に任せるしかないらしい。
そのことが認識できただけでも、収穫である。

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感想投稿日 : 2015年7月6日
読了日 : 2015年7月5日
本棚登録日 : 2015年6月20日

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