文藝 2021年春季号

著者 :
  • 河出書房新社 (2021年1月7日発売)
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感想 : 13
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「誰にも奪われたくない」アイドルに曲を提供してる兼業作曲家とアイドルグループのメンバー、作曲家の職場の同僚。なかなかにどす黒い。
「エラー」「誰にも奪われたくない」と同じような業界裏側的などす黒さ、おもしろさはあるんやけど、それ以上のものが無いのよね。「おもろい以外いらんねん」にはあったんやけど。
「腹をすかせた勇者ども」「感染防止策をとった上でコロナにかかってしまうのは運、感染者を責めるのは間違い」一般論としてはそうやねんけど、なかなかそう割り切られへんケースってあるよね、とええとこ突いてきてる。母親のキャラはちょっとやり過ぎとは思うけど、中学生の至らなさ、アホさが上手い。さすが若くして芥川賞とっただけのことはある、と思ったけどもうアラフォーなのね。
「オキシジェン」ディストピアSFってことになるのかな。作中作も本編自体も膨らませたらおもしろくなりそう、もっと読みたいと思わせる引きあり。
「分断されていく世界で」今号で一番印象強かったのはコレ。とはいえ「ババヤガ」とか「おもろい以外」と比べると弱いかなぁ。まぁ比べる対象ではないんやけど。同時代史というか、同じニュースを見てたはずやのに覚えがないニュースがあったり。
「天国という名の猫を探して悪魔と出会う話」空気感というか「オキシジェン」とかぶる印象。ディストピア、病原体SFとでもいうか。
「ただしみ」ライブカメラって目のつけどころはオモロいけどそれだけかな…いや、文章が読みづらいとか話が破綻してるとかはないんやけど。
「身体と精神改造のための闇のブックガイド」オモロい。時間とカネがあれば読みたい本いっぱい。
「いとこ」「何も起こらなさそうで、ちょっと何か起こりそうで、でも何も起こらない」日常を切り取って来るコントにありそうなシチュエーションをシチュエーションだけごそっと切り出してきてる感じはお笑いの人っぽい。「ただしみ」と同じで「他の畑の人が書いたにしては本業の人と遜色ないけど、それ以上にアタマ一つ抜けてるかと言うと…
「アーミーオブクィア」オモロい。もっと長く読みたい。SF戦記モノとして長編にしても読みごたえありそう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年1月27日
読了日 : 2021年1月27日
本棚登録日 : 2021年1月27日

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