死者は還らず: 山岳遭難の現実

著者 :
  • 山と溪谷社 (1998年3月1日発売)
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感想 : 9

母親が山登りが趣味なこともあり、
家には雑誌「山と渓谷」があったし、
(この雑誌では遭難事故があると特集を組む)

母親が話してくれる本当にあった遭難その他
山での怖い話をよく聞いて育った私は、

「山登り行くには装備を万全にしよう。
(雪が無いと言われても、季節によってはアイゼンを持参、
日暮れまでに帰れるスケジュールでもライトは絶対必要)」
でもなく、

「迷ったとわかったら引き返す勇気を持とう」
でもなく、

「とにかく絶対、山登りはやらないでおこう」と言う
後ろ向きの、それも固い固い決意のみ。

沢山の山の遭難の実例を出して
「なぜ?」に迫るレポート。

「そうなると思わなかった」
「こうだと思った」と言う思い込みから、

「知らなかった」「気付かなかった」と言う
経験不足から、

「出来ると思った」「自信があった」と言う過信から、

遭難は起こり、その後リーダーがどういう判断を下すか、
が最大の決め手となる!

低体温症と言うのは急に亡くなってしまうそうで、
そういう人が出ると、
チームがあっという間に動揺してしまう様だ。

ただ、自分の無知を、過信を、
「運」と言う一言で片づけるな、と
著者は息巻いておりますが、それを遺族や
同じチームの生き残った方にぶつけるのはいかがなものか。

「なんでこんな行動を?」と不思議に思っても
当事者になってみないとわかりませぬ。

ただ、おかしいな、変だな、と思ったら
リーダーがそう言っても自己防衛するのが大事みたい。
でも大学の山岳部とかってリーダーが絶対らしく
難しいのかな。

わたしなんて、自宅でひたすら遊んでいるのが好きだから、
「なんでわざわざ、危ない思いをしに…」と
思うんだけれど、

特にこう言った雪山へ行きたい人って
危ない、ぎりぎりの目に会いたいのかな、とも思った。

怖い、怖い、怖いよ~と読みながら
極限状態になったとき、自分はどうなるんだろう?と
つくづく考えてしまう本。

どんなに元気な時でもがっくりくるので
読まれる方は気を付けてください。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2016年7月31日
読了日 : 2016年7月31日
本棚登録日 : 2016年7月31日

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