いのちを“つくって"もいいですか? 生命科学のジレンマを考える哲学講義

著者 :
  • NHK出版 (2016年1月27日発売)
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感想 : 14
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死生観を知りたくて選んだ本の中の一つ。
あと、オルダス・ハクスリーの「すばらしい新世界」が取り上げられていたので読んでみた。

前半はいまの再生医療の技術について、科学を通して知る。ES細胞とかiPS細胞とか、ニュースで聞くくらいしかなかったけど、なるほどそういう仕組みだったのか、だからノーベル賞なのかと知った。
それが今後、生きている人間に対してどんな影響を与えるんだろうかということも書かれている。エンハンスメントの話。
もともと治療をするための医療が、より多幸になるためとして発達しているんじゃないか、と。
身体能力だけでなく、心も変えることができる…。いわれてみれば、ということが何か所かあった。

後半は宗教観、欧米と日本との違い、日本の中でも価値観の違いなどにも触れる。
特に「これから人になりうる命」についてはすごく丁寧に取り扱っていた。
ES細胞になる余剰胚も、授かりものの命も、すでに社会の中に取り込まれているのだなと感じた。
自分の意識が生まれる前から、自分を取り巻く社会ができているのだと。
生まれる前だけじゃなくて、死んでからもそうだと。脳死のトピックでそう感じた。

「個人が個人として存在するためには、他者や集団、自然や環境との関係が、そして世代を超えた過去や未来とのつながりが必要です」224p

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: そのた
感想投稿日 : 2017年9月13日
読了日 : 2017年9月13日
本棚登録日 : 2017年9月13日

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