コレクション 戦争×文学 5 イマジネーションの戦争 (コレクション 戦争×文学)

  • 集英社 (2011年9月5日発売)
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感想 : 7
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戦争を題材にしたSFやファンタジーを集めた一冊。戦争という現象が制度や政治の特性を炙り出し人間の多様な側面を露わにするものである以上、それは常に作家のイマジネーションを刺激し続けてきた。だからSFやファンタジーに戦争がしばしば取り上げられるのは必然と言っていいし、それだけに傑作も多い。
芥川龍之介、宮沢賢治のような教科書クラスから伊藤計劃や三崎亜記など最近の作家まで、一口に戦争といってもその切り口は多種多様。ただ単に戦場を舞台としただけの作品はひとつもなく、奇想といえる、それこそイマジネーションの限りをつくした作品が収録されている。戦争がいかに優れた素材であるかがよくわかる。
ただ、いくら戦争を題材とした作品に傑作が多いとはいえ、それだけでこうした作品集を編むのは少々無理があると思う。どれも面白かったのだが、果たしてそれがすべて後世に残すほどのものであるかというとなかなかそうは言えない。そしてそれはこの巻だけでなく、この戦争✖️文学コレクション全体に言えることだと思う。さすがに戦争というテーマだけで20巻もの全集というのは多すぎる。収録作を半分に絞り込むなど、どうしても外せない作品だけを集めたほうがよかったのではないか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2013年12月22日
読了日 : 2013年12月22日
本棚登録日 : 2013年12月22日

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