戦国乱世の甲冑は、単なる武具ではなく、武将たちが野望を誇示する究極の自己表現。彼らは競い凝った意匠の甲冑を身にまとい、我こそはと戦場を疾駆した。本書はそうした鎧と兜に関する奇譚、奇談を集めた短編集、武将たちの夢、出世、野望、そして無念の死を抱えた6つの甲冑の秘話が収められている。織田信長、豊臣秀吉、蒲生氏郷、前田利家、井伊直政ら、名だたる武将ばかり。筆者は群を抜く豊富な知識と伝記的物語づくりで定評があり、うらうちされた知識に基づく、物語のくみ上げ方が緻密で恐れ入る。逆を言えば、歴史に造詣が深くないと読み込めない、玄人好みの作品。一般的な歴史物語で満足できない方にお勧めの一品です。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
時代小説
- 感想投稿日 : 2015年3月25日
- 読了日 : 2015年4月19日
- 本棚登録日 : 2015年3月23日
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