「近淡海」と呼ばれた琵琶湖は、古より日本海を結ぶ海の街道、東国への入り口、比叡を経て京と繋り、また瀬田川、宇治川、淀川を経て大阪、中国四国、九州へ、朝鮮、中国とも繋がる。本書は琵琶湖のネットワークを統治にうまく利用した信長の「琵琶湖ウォーターフロント計画」を軸に、琵琶湖の水運とその歴史を天智天皇の大津京、恵美押勝の乱、源平合戦、と繋ぎ、中世の六角氏、浅井氏の舟運や朝湊、塩津、海津、今津、堅田等の廻船業の成立を紹介する。近江国は琵琶湖に多くの面積を取られながらも、米の生産量では陸奥に次ぐ一大産地。経済力があるということは、軍事力があるということ。天下布武を掲げる信長もやはり、琵琶湖に着目、水運を利用すれば主要街道が通る琵琶湖周辺を制圧することで流通も押さえられる。信長は、琵琶湖へどういう新構想を持ち、行動していったのか。残されたデータを駆使して、それを解明する。琵琶湖の歴史は実に興味深い。
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カテゴリ:
日本史
- 感想投稿日 : 2019年3月16日
- 読了日 : 2019年3月16日
- 本棚登録日 : 2019年3月1日
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