上級国民/下級国民(小学館新書)

著者 :
  • 小学館 (2019年8月6日発売)
3.81
  • (23)
  • (51)
  • (31)
  • (2)
  • (3)
本棚登録 : 380
感想 : 51
3

今起きていること、起きようとしていること。
統計データとともに論じています。
総じて仰るとおりと思います。

時代が変わり、情報(知識)は人脈や伝承、書物等で調べていたものがその必要がなくなって、Google等で簡単に得られるようになりました。
 さらに今は進んで、ググることすらしなくても済むように(ChatGPTを言っています。今まではGoogleで検索、得られた結果から自分で最適と思われるものをピックアップしていました。でも、ChatGPTを使えば、「風呂の鏡のうろこをとる方法を教えてください」、の回答を読むだけ)なりました。

 これからさらに進んで、仕事もしなくてよくなってくるでしょう。
すでに仕分け、配達、梱包、運転、診断、、、等、人がする仕事が置き換わってきています。
これは(ひとさまの仕事を奪うことなので)よくないことだ、と言っているわけではなく、巻末にあるシンギュラリティに繋がっていくのだと思います。
それは、徐々に、ではなく突然、加速して訪れ、止めることができないものかもしれません。みえないところでコンピュータ、クローンが生まれ、進化し(人々を助けるかどうかはわからない)、世界が変わります。

本書では、上級下級の2つの世界といった論点ですが、実際には1%の悪魔のような生き物が君臨、その下に数%のエリートがいて、あとは奴隷、なんてことはよく知られるところです。その論点が本書にはありません。

ーーー

131頁
 なぜそのようになるかはとてもシンプルで、「他社の自由を認めなければ自分の自由もない」からです。これが「自由な社会」の根本原理です。
 リベラルな社会では、ひとびとは「私が自由に生きているのだから、私の利益を侵さないかぎり、あなたにも同じように自由に生きる権利がある」と考えるようになります。

155頁
 中国やインドはかつては世界の最貧国でしたが、わずか数十年でグローバル企業がいくつも誕生し、大きな中間層が形成されました。
...
 ただし、ここには問題がひとつあります。世界が「全体として」ゆたかになった代償として、先進国の中間層が崩壊したののです。これが私達が体験していることです。

190頁
 もしかしたら遠い将来、なんらかのとてつもないイノベーションによって、全世界のすべてのひとに「健康で文化的な生活」を保障するだけのお金を配ることができるようになるかもしれません。

194頁
 人工知能が人間の知能を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)は2045年とされています。もしかしたが私達の令和の時代のあいだに、臨界状態から相転移に至る「知識社会」の終わりを目にすることになるのかもしれません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会
感想投稿日 : 2023年7月5日
読了日 : 2023年7月5日
本棚登録日 : 2023年7月1日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする