通学途次、田んぼの畦道に下りる段差を下りたその瞬間に、「あ、こうやって"今"一歩踏み出したことは、既に決められていたことなのだ」という感覚に撃たれたときのことを思い出した。神だか宇宙の意思だかによって、あらゆる事象現象が決定付けられているという考え方は中学生の私にはショッキングであり、しかし一方で、いささかの興奮をも感じさせるものだった。
認識とか存在とか懐疑とか現実とか時間とか世界の一番外側の枠とか、当時の私が考えていたことが、あれもこれもこの一冊の中で論じられていて、懐かしくなった。
答えの出ない問いを問い続けるのは大変なことだ。ある日を境に私は、もう答えは求めることはしない、ときっぱりと決めて、それからは、ずいぶんと楽になった。
答えを知るためではなくて、哲学というのは考え方を考えるレッスン、と思ってこういう本も読んでいる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
「な行」
- 感想投稿日 : 2022年8月29日
- 読了日 : 2022年8月29日
- 本棚登録日 : 2018年12月28日
みんなの感想をみる