毎回楽しみにしているオリヴァーとピアシリーズだが、
実は、すぐに手に入れて、すぐに読むわけではない。
手に入れて、しばらく置いておく期間がある。
準備を整えたいのだ。
気持ちの、気分の、体調の、時間の、場所の、環境の・・・・・・そんな色々の。
というのも、このシリーズ、毎回テーマは軽くない。
ナチ、冤罪、環境問題等々、一筋縄ではいかない、考えさせられるものばかりだ。
その上、はじまりが必ず不穏なのである。
事件に関わる人々の状況も落ち着かないし、
オリヴァーやピアの周辺もなんだか穏やかではないし、
どう関わるかまだ分からない人々も、それぞれなにかを抱えている。
なにか起こりそうだが、まだなにかは明らかではない、
でも必ず不幸が訪れそうな、この落ち着かない状況が、
それぞれ登場人物ごとに描かれるのだ。
正直、ストレスである。
それに堪えて読んでいくために、上記のような色々を整えておく必要がある。
「だったら読まなければいいじゃない?」
もっともな問いである。
それにはこう答えよう。
「だって、面白いんだもの!!」
テーマは重く、人物は多数、ひどい事件があるにも関わらず、
このシリーズはどの巻も、立派なエンタテイメントになって、
信じられないことに、読後感がよいのである。
だから読みたい、止められない。
前半は呼吸を整えつつ、
後半は息を詰めて一気読み。
『悪しき狼』も期待どおりだった。
「あなた、早く戻ってきて、早く家に帰ってきて」
とは、作中に出てきたドイツのヒット曲である。(446頁)
シリーズファンの大半が、近頃のオリヴァーについて、とにかく気をもんでそう呼びかけていただろう。
この巻で「おかえりオリヴァー」と言えてよかった。
これで、ちょっとは安心して、次の巻を待つことができる。
件の歌はこちら
Junge, komm bald wieder Freddy Quinn
https://www.youtube.com/watch?v=6Ag3QNdomuQ
- 感想投稿日 : 2018年11月20日
- 読了日 : 2018年11月20日
- 本棚登録日 : 2018年9月23日
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