眠れる森の美女にコーヒーを (コージーブックス コ 1-4 コクと深みの名推理 14)

  • 原書房 (2016年8月8日発売)
3.50
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本棚登録 : 87
感想 : 7

久々に満足のいく面白さだった。

シリーズ14巻目。1巻目が翻訳されたのは2006年のことだから、短くない付き合いである。
しかし、いつの頃からか、面白さが落ちてきたように感じていた。

主人公が、スーパー過ぎるのである。

コーヒーショップのマネジャーなのだから、コーヒーに詳しくうるさいのはいい。
けれども、アートに詳しく、料理にも詳しく、恋愛にも一家言あり、ニューヨークの街と歴史を語れ、
人々から一目おかれ、信頼され、人脈に恵まれ、妙にもてて、
コスプレと潜入をし、鋭い直感を元に、毎度毎度殺人事件を解決するというのは、万能すぎやしないかと。
そんな私の疑問煩悶に応えてくれたように、今回、著者は開き直りのような手に出た。

『ニューヨークの街を舞台におとぎ話をテーマとしたおとぎ話仕立てのミステリの構想を練りました。』

まえがきで堂々の宣言である。
なるほどおとぎ話なのだから、主人公がスーパーでちょうどよいのである。
不思議な能力の数々に恵まれていないと、不自然だ。

話自体はミステリである。ちゃんと事件がある。犯人を捜さなくてはならない。
演出はおとぎ話である。ニューヨークという魔法じみた街を、冒険して謎を解いていくのだ。

それにしても、考えてみれば、主人公がスーパーすぎることに、なぜ違和感をおぼえたのだろう?
変装、潜入捜査、心強いサポートたち、いろいろな方面にえらく詳しい、妙にもてる、アマチュア探偵・・・・・・
男性だったら、たくさんいるのだ。
本職は神父、ラビ、心理学者、作家、医者、記者、独身貴族、既婚貴族、執事、給仕 etc.etc.etc......

ここに、コーヒー店のマネジャーがいたって、ちっともおかしくない!

つまりは、スーパーな主人公が女性だから違和感を覚えたということだろう。
ウカツなことだ。
そんな自分に気付かされた1冊だった。

ともあれ話は、いや物語はというべきか、満足いく面白さだった。
シリーズを読み続けたことを悔いることなく、これからも迷いなく続きを読んでいける。

よかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年12月7日
読了日 : 2018年6月11日
本棚登録日 : 2016年8月9日

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