小説十八史略(五) (講談社文庫)

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  • 講談社 (1992年5月6日発売)
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唐の2代太宗・李世民が子供のころからいかに大物だったか、兄の李建政との比較が分かり易い。隋の煬帝の無軌道ぶり、その最期も印象的だが、唐の初代・李淵そして李世民以外の皇帝も凡人揃い。いずれも女性に溺れる…。いかに李世民が傑出した皇帝だったかを感じることになる。則天武后以後も武后の娘・安楽公主、高宗の韋皇后、高宗の妹・太平公主らが次々に女帝の地位を狙っていたというから唐も安定していたとはいえないことに驚いた。若き日の玄宗がそれら女性の野心を砕き、2回のクーデターで韋皇后、太平公主を除き、地位を盤石にするのだが、後年の楊貴妃に溺れた醜態は思いもつかない。安禄山、史思明らの反乱と彼らが、女性に溺れ、同じ轍を踏んで滅びていく姿に、本当に人間は懲りない動物だ。玄奘、阿倍仲麻呂、鑑真や書家の褚遂良、顔真卿らも登場し、政治の世界との繋がりも興味深かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史小説
感想投稿日 : 2017年12月26日
読了日 : 2017年12月26日
本棚登録日 : 2017年12月2日

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