げんきな日本論 (講談社現代新書)

  • 講談社 (2016年10月19日発売)
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この書名の「元気な」は「日本」ではなく「論」にかかる言葉。日本史の18の質問を社会学的観点から語り合う。まずはなぜ日本は土器が発展したのか?から。なぜ日本で大きな古墳が発達したのか。なぜ日本は貴族階級、そして武士階級が生まれたのか、天皇を超える存在になろうとした信長を象徴する安土城など、興味深い根源から考えさせてくれるテーマが多い。貴族の代表格でもある藤原氏は爵位を継承していたわけではない、その権力の根源がどこにあったのか。武士の存在は日本にしかない!などは全く考えたこともなかったが、実にスッキリとした感じ!幕府と天皇の関係を巡る微妙な力関係が、北条義時の承久の乱の戦後処理、後醍醐天皇の失敗などから解き明かされる。天皇制が残る謎の解明でもある。平安時代の女流文学から発展した平仮名・片仮名論議も面白い。片仮名は最もプリミティブな感覚の層を表現する文字だとの説明は全くその通り!「常備軍がなく、国税も徴収しない徳川幕府がなぜあれほど強力だったのか。それは誰もが、幕府は強いと思っていたその意識にあった」とは皮肉ではなく、それでこそ幕末に急に幕府が弱まっていく謎が解けるように思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本史
感想投稿日 : 2017年2月14日
読了日 : 2017年2月13日
本棚登録日 : 2017年2月3日

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