観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い (中公新書 2443)

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  • 中央公論新社 (2017年7月19日発売)
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擾乱という用語も特別な響きを感じさせる不思議な争いである。足利氏の内訌で正にシーソーゲームで、尊氏を裏切って直義に付く武将が続出。そしてまたその裏返し。後に発生する応仁の乱とも似ているようで、ドラスティックに展開していくところがオセロゲームのよう。幕府を実質的に動かしていた直義は北条氏の政治を模範として三条殿と呼ばれ、別に副将軍という役職でもなんでもない。分裂に乗じた南朝側の動きも何ともセコイ。最終的に尊氏が勝ち、直義が敗れる。二人とも実は兄弟で戦いたくなかったが、直義は実子を亡くし、尊氏は嫡子の義詮に譲りたかったその差は正に二人の気概にあった!直義の消極性が恩賞論功に出たため、直義に失望した武将が多かったとは、建武政府の過ちを繰り返しただけでは‼ 尊氏と義詮の対立もあった!この擾乱を通して尊氏が将軍としての役割リーダーシップを初めて発揮し、権力構造が確立していったという。室町時代を理解する上で興味深い1コマ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本史
感想投稿日 : 2018年7月31日
読了日 : 2018年7月31日
本棚登録日 : 2018年7月31日

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