米国がどういう国なのか、改めて19世紀の歴史を中心に詳述しているだけに迫力満点。米国が今の形になったのは多くの偶然があったことを痛感します。テキサス共和国の併合とメキシコとの戦争。その勝利の結果としてのカリフォルニアの獲得などが今の米国の骨格を作ったのですね。1776年の時点では毎週教会へ通っていた人は17%に過ぎず、1850年頃の信仰覚醒により40%に高まっていったその過程が興味深いです。最初から理想に燃えていた国ではなく、セキュラーな国だったのです。内村鑑三が訪問して失望した事が目に浮かぶようです。そしてその信仰覚醒の文脈の中で南北戦争が発生し、奴隷解放、女性解放が出てくることも私にとっては嬉しい記述です。南北戦争で米国は南部11州の独立を認めず、他国が承認することも許さなかったとのこと。現在の中国と台湾の関係がかつて米国にもあったその皮肉が面白いです。米国の歴史の中で「アンクル・トムの小屋」「ハックルベリーの冒険」「緋文字」「小公子」などの古典名作。黒人霊歌、ジャズ、演劇、ストリップ、そして政治好きが嵩じたお祭り選挙などの米国らしい文化を生んでいった背景を感じさせてくれるアメリカン・ルネサンスの説明も楽しいです。このシリーズでも圧巻の出来でした。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
世界史(西洋中心)
- 感想投稿日 : 2013年8月21日
- 読了日 : 2005年1月12日
- 本棚登録日 : 2013年8月21日
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