人類、月に立つ 上

  • NHK出版 (1999年7月1日発売)
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感想 : 12
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この種の本は、立花隆「宇宙からの帰還」、著者を忘れましたが「アポロ13号」など、ほとんど読んできましたが、60年頃から時間を追って飛行士を追いかけてのドラマとしては今までなかったものです。ケネディ大統領の60年代に月に人間を無事に行かせるという約束から8年、アームストロング、オルドリンの2人を乗せたアポロ11号は月に着陸した。最初の宇宙飛行士7人から始まり、次の9人、そして3次、4次と増員されていく、その中での搭乗へ向けてのライバル意識、そして月1番乗りへの競争。飛行士たちの人間ドラマが面白い。そしてアポロ1号の3名事故死、飛行士たちの思ったこと。話はジェミニ計画にさかのぼる。続いて、ボーマン、ラベル、アンダース3名の乗る8号による初の月周回は船長一人緊張する中での2人のリラックスと地球の出という感動的な地球の発見(月ではなく)が面白い。また、私には月周回中の聖書・創世記1章の朗読。が感動。一見平凡な9号の地球軌道でのむしろ飛行士にとっては困難でやりがいのある月着陸船の初のテスト。10号の月周辺での着陸船ドッキング・・・それぞれのドラマが描かれ、いよいよ11号のメンバー選定の物語、出発から、緊張感が高まる。3名の気持ちの動きが面白い。安全な着陸場所を求めてあと20秒の燃料を残すのみとなったコンピュータと手動による着陸。月面、有名になった初の言葉を巡るやりとり、オルドリンが船の中で着陸後初めて一人行った聖餐式という神様への感謝の静かな感動。息もつかせません。また一人残ったコリンズが軌道上で考えていたこと。まるで自ら月に旅行にいったかのようです。12号では一転してリラックス旅行の雰囲気。その中で、2年前に着陸した無人探査機のすぐ近くにピンポイント着陸をするという唯一の緊張。しかし、ベトナム戦争が激化する中で、なぜもう一度月に行くことが必要なのかという、冷ややかな声。時代を感じさせます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 自然科学
感想投稿日 : 2013年8月24日
読了日 : 1999年10月3日
本棚登録日 : 2013年8月24日

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