グロテスク

著者 :
  • 文藝春秋 (2003年6月27日発売)
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本棚登録 : 2436
感想 : 369

怪物的な美貌を持った妹ユリコを持った姉である私。そしてその高校時代の同級生・佐藤、そしてユリコ。ユリコは中年売春婦として殺され、佐藤もエリートOLの傍ら渋谷で売春婦となり、また殺される。この2人の人生が強烈でグロテスクそのものであるものの現実に東電OL殺人事件をモデルにしており、その通りだと思うとリアリティーがあります。恐ろしい世界が日本の近くにあるんですね。また私と佐藤の高校時代の才色兼備の同級生が狂信宗教教団のテロ容疑者として夫妻で被告人になっているというのもオウムのモデルとなっているだけに興味深いです。しかしながら、実は嫉妬と嫌悪と周囲への冷たい目線を持ちつづけている「私」が一番怖い人ではないか、ということがずっと伏線として流れています。それが私たちの罪の本質ではないか、と恐ろしい本です。一気に読んだものの、かなり陰鬱な気持ちになる本です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会小説
感想投稿日 : 2013年8月24日
読了日 : 2003年12月4日
本棚登録日 : 2013年8月24日

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