共産主義、資本主義という枠組みではなく、家族構造システム(父系・母系・双系、平等主義・権威主義など)、識字人口比率、出生率などの指標から世界を分類し、読み解いていこうとする考え方の斬新さは凄い。どのような国、地域でマルクス主義が定着したかの説明は成程と思うところが多い。各国の共産党得票率を家族類型との関係を論証している。しかし、あまりにも古い著作であり、ソビエト(しかもロシアといいつつ、ウクライナや旧構成国は全てロシア)、ユーゴ、東西ドイツなどが出てくるのは、確かに人類学としては50年ほどの経過は大きな意味はないのかも知れないけど…と思ってしまう。ソ連の崩壊、そしてロシアとウクライナなどの対立に関する予言を他の書物ではしていると思うが、そこまで至らなかったのは、古さの故、やむを得ないか。
フランス人としてフランス・ポーランドの平等主義核家族の共通性が両国の繋がりの深さという説明に及ぶところは愉しい。ロシアの起源に際してはスカンディナビア(スウェーデン人)の影響について触れていることは、全く知らない知識だった。(P381)今後、ぜひ深く追究していきたい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
国際政治
- 感想投稿日 : 2022年5月2日
- 読了日 : 2022年5月2日
- 本棚登録日 : 2021年12月31日
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