保守と立憲 世界によって私が変えられないために

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  • スタンド・ブックス (2018年2月1日発売)
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安倍首相が立憲主義を壊そうとしているという危機感が溢れる文章が多い中で、オルテガ、マンハイム、福田恆存、吉本隆明などの説明が出てきたり…。保守とはリベラル、それは安倍政権、ネオコン政権や共産主義政権、ヒトラーのファシズム政権のパターナルな決断主義との対極にある!保守にとって重要なのは死者の立憲主義であるとの著者の主張はよく分かるものの、死者を強調しすぎることには少し違和感がないでもなかった。しかしほぼ主張が快い。著者の枝野幸男氏の「リベラルな現実主義」との評価に極めて深い絆・信頼を感じさせられた。そして存在しない抗議に怯え、自主規制を繰り返す。忖度もそうだ。こうして自由が失われてしまっていっている現実!
印象に残った言葉を引用する。浅田真央が亡くなったお母さんに何と報告するかと問われた時、「一番近くにいる感じがしたので、何も報告しなくてもわかってくれると思います」深い味わいのある言葉だ。福田恆存「人間・この劇的なるもの」から「私たちが真に求めているものは自由ではない。私たちが欲するのは、事が起こるべくして起っているということだ。そしてその中に登場して一定の役割をつとめ、なさねばならぬことをしているという実感だ。何をしてもよく、なんでもできる状態など、私たちは欲してはいない。ある役を演じなければならず、その役を投げれば、他に支障が生じ、時間が停滞する。ほしいのは、そういう実感だ。」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 政治
感想投稿日 : 2019年3月1日
読了日 : 2019年2月27日
本棚登録日 : 2019年3月1日

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