4篇収録の短篇集。
ミステリ色が強いのは「IgE」と「ボストン幽霊絵画事件」で、あとの2篇は事件性のない御手洗にまつわる思い出についての手記。
4篇に共通するのはタイトルが醸し出す雰囲気そのままのセンチメンタルさだろうか。
「SIVAD SELIM」の追憶の甘みのくだりが印象的。
p104 「どんな陰惨な事件も、時を経れば追憶に甘みが出る。それはまさしくただの酸っぱい水が酒に変わっていく過程なのだが、同時に他人事たる残酷な事件が、ますます他人事になっていく過程と言えないこともない」
夏になるとテレビ局がこぞって感動系の戦争ドラマを放映する。そんなことを連想した。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説(日本)
- 感想投稿日 : 2015年3月1日
- 読了日 : 2015年3月1日
- 本棚登録日 : 2015年3月1日
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