日本の近現代史をどう見るか〈シリーズ 日本近現代史 10〉 (岩波新書) (岩波新書 新赤版 1051 シリーズ日本近現代史 10)

制作 : 岩波新書編集部 
  • 岩波書店 (2010年2月20日発売)
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感想 : 26
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 本書は「シリーズ日本近現代史」の10巻目で「総まとめ」になるとのことだが、「シリーズの導入」としてもおすすめということで手にとって見た。
 10人の歴史家がテーマごとに分担しており、それぞれの内容は個別には興味深い見識も見られるのだが、当たり前のことだが、やはり視点の違いも痛感した。
 歴史を詳細にみると、通説とはだいぶ違う風景が見られる。
 幕末の幕府と諸外国との交渉で、「幕府の外交」が低く評価されてきたこともそうであるし、明治維新の「天皇」の存在の評価や、その後の明治憲法体制についての視点なども、だいぶ以前とは変わってきているように思える。
 しかし、「日清戦争」や「日露戦争」、「日韓併合」や「満州国建国」などのいわゆる「歴史認識」については、現在、一般に日本人みなが認識を共有しているとはいえないのではないのだろうか。
 そういう意味で、本書のような「近現代史」は実に興味深いが、本書の各項の視点はさまざまである。
 いろいろな視点からの検証という利点もあるだろうが、やはり「雑多」という印象はぬぐえないと思えた。
 シリーズもおいおい読んでみようとは思うが、「日本の近現代史をどうみるか」というのは、あまりにも大きなテーマである。
 歴史家の力量も問われるが、読者自身も相当読み込まなければ納得のいく読後感は得られないのではないか。
 本書は、読後に「驚き」や「充実感」をあまり得られなかったという意味では、ちょっと残念な本であると思えた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年8月23日
読了日 : 2013年8月23日
本棚登録日 : 2013年8月23日

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