中流崩壊 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2020年7月13日発売)
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感想 : 8
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「社会学」はどんな主張をしても5年~10年後にはデータが出揃うことによってその主張が正しいかどうかがはっきりしてしまう。本書では多くの社会学者の過去の主張とその変遷まで言及しているから、思わず笑ってしまった。
本書での「1970年代からはじまる格差のトレンド」を鋭く追求する論考は政治家のごとく断定的だが、ここまでデータが揃っていると反論の余地もないと思えた。
過去に、政治家や評論家がさまざまな学者の言説を引用して「格差」の存在を論争していたことを思い起こす。今から振り返ると、誤った認識の下に政策を遂行していた政治家には是非本書を一読してもらいたいものだと思った。
「社会移動」についての考察は身近な問題でもあるために興味深いし、「中流の3つのタイプ」のクラスター考察にもとても驚いた。日本もアメリカの様に底流で分裂が進んでいるのではないかと考えてしまう。
「使命は」を読んでいて感じたが、著者は本書ではより政治的に踏み込んでいる様に思える。日本の現状が学者にも傍観出来なくなったということなのだろうかとも思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年9月14日
読了日 : 2020年9月14日
本棚登録日 : 2020年9月14日

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