漂砂のうたう

著者 :
  • 集英社 (2010年9月24日発売)
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本棚登録 : 934
感想 : 173
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再読。あっというまにこの時代に引きこまれていく筆の力強さ。江戸のことば、花魁のことば、町人のことばが個性を浮き立たせ、明治はじめの遊郭の臭いが漂ってきます。物語は淡々とすすむように見えても、その裏にはたくさんの人生の秘密が隠されています。それを想像しながら読み進みます。どの人物も客観的に表現されるので、誰にも深入りできない事情があることが、リアルにせまってきます。
花魁同士のやりとりを、一行で覆してしまうドラマ。
時代に翻弄される市井の人々。人の奥底にある思いを、こんなにも鮮やかに描き出してみせる。木内さんの真骨頂です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 木内 昇
感想投稿日 : 2015年9月2日
読了日 : 2015年8月28日
本棚登録日 : 2015年9月2日

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