再読。あっというまにこの時代に引きこまれていく筆の力強さ。江戸のことば、花魁のことば、町人のことばが個性を浮き立たせ、明治はじめの遊郭の臭いが漂ってきます。物語は淡々とすすむように見えても、その裏にはたくさんの人生の秘密が隠されています。それを想像しながら読み進みます。どの人物も客観的に表現されるので、誰にも深入りできない事情があることが、リアルにせまってきます。
花魁同士のやりとりを、一行で覆してしまうドラマ。
時代に翻弄される市井の人々。人の奥底にある思いを、こんなにも鮮やかに描き出してみせる。木内さんの真骨頂です。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
木内 昇
- 感想投稿日 : 2015年9月2日
- 読了日 : 2015年8月28日
- 本棚登録日 : 2015年9月2日
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