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  • 光文社 (2014年11月14日発売)
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冒頭───
 百ある警視庁本部の調室の中から、姫川玲子が選んだのは第十一号室だった。「一」は英語で、「ワン」。それを「won」と読み替えれば「勝ち」になる。「勝ち」が二つ。これ以上縁起のいい部屋はない。逆にいえば、今回のホシにはそれくらいの気合が必要だということだ。
吉田勝也、四十三歳。前回の取調べ時に、黙秘権と弁護士を依頼する権利については説明した。吉田は曖昧に頷いただけで、特に弁護士との接見を希望する旨の意思表示はしなかった。
玲子は薄っすらとヒゲが生え始めた吉田の顎を見ていた。
──────

姫川玲子シリーズ、最新刊。
 
テレビの影響というのは恐ろしいもので、姫川玲子という文字を読むと、私の頭の中ではすぐに竹内結子の整った美しい顔がイメージ再生される。
ガンテツは武田鉄矢だし、菊田は西島秀俊だ。
その人物の顔や体型、声などがすぐに頭に浮かんでくるので、実に読みやすい。
それが小説にとってはいいことなのか、悪いことなのか分からないけれど。
ただし、すんなりと物語世界に入りやすいのは紛れもない事実だ。

この作品は、前作「ブルーマーダー」で姫川班が解散して以降、姫川玲子が所轄に移動させられた後に扱ったいくつかの事件を基にした短編集。
それぞれ、ピリッとした切れ味があって、まずまず面白い。
特に、姫川が刑事になる前、池袋の大型書店のカフェに入り浸っていた頃のエピソードが最も興味深かった。
最後は、新たな姫川班復活を想像させる展開もあり、今後もこのシリーズは続くと思われる。
次作以降の長編に期待したい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 誉田 哲也
感想投稿日 : 2014年12月5日
読了日 : 2014年12月3日
本棚登録日 : 2014年12月2日

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