<世界の文学に自然体で向かう方法>
イギリスの小説家で劇作家のサマセット・モームは、文芸評論家でもありアンソロジストでもあり、偉大な読書案内家。世界中からさまざまな作品を集めてきて、一作もおろそかにせずにアテンドしてくれました★
美点を突き止めるのが巧い。不満を書いても嫌味がない。自らも創作活動をしているから、態度だけがビッグな評論家とはわけが違う。信頼に値する、本物の読書家です。
世の中には多くの書評本、本についての本がありますよね。書評を読むのは好き、なはずだけど……、近頃、自分では読書に進まないことが結構出てきてます。その書評者の読書量や知識の質に「なんかすごそう、自分は読めないかもな~★」と圧倒されて、そこでおしまい(笑)。
でも、モームの読書案内が伝えてくれるのは、世界文学に自然体で接するコツ☆ 読書は楽しみのためのもの、とっつきにくかったら飛ばし読みしたってかまわない、とまで述べているのです。
モーム自身の文章はいつでもまっとうな感じで、受け取るほうに苦労がないですね。優しい=易しい★ 本読みの初心者~中級者への上がり口で親切にしてくれます。『世界の10代小説』と併せて読むと、頭の中で一つのまとまりになってくれるのでなお良し。
久しぶりに読み返してみたら、ストレートで分かりやすいことを重視する傾向が、強めに感じられました。無意識のうちにストレートを要求しているような。ストレート自慢の投手が好きで、変化球はあんまり評価しないイメージですね(野球にたとえて言うのがどうなのか分からないけれど……)★ 欠損があっても、作品の技術云々よりも、強いストレートを好んで偏った評価をしてしまっていないかなぁ……?
なんて生意気申しましたが、自分の読書に実際に影響を及ぼしたブックナビ、ナンバー5に入ります☆ サマセット・モームは、世界文学にマイペースでつきあっていく楽しみを教えてくれたのでした。
- 感想投稿日 : 2011年9月21日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2007年2月11日
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