エラリー・クイーン著<国名シリーズ>に挑戦。シリーズ第2作は『フランス白粉の秘密』です★
殺人の舞台は、ニューヨーク五番街にあるフレンチ百貨店。商品のデモンストレーション中にお客さんの目の前で、最新式の収納ベッドから永遠の眠りについた人が出てくる、という前代未聞の騒動が! 身元はフレンチ百貨店の社長夫人と判明します。
誰が夫人を殺した上に、最悪の営業妨害(ですよね?)をしでかしたのか。
リチャード・クイーン警視はどうやら職場のストレスが高いらしく、かわってご自慢の息子エラリーが探偵役を務めます★
文章は至って真面目で喜劇的な印象はないですが、あちこち不謹慎で終始冗談っぽく感じました……
作品から話がそれますが、フレンチトーストは、アメリカのN.Y.にあったフレンチなる名の店が作ったとする起源説があるとか……そんな豆知識がふと脳裏をよぎったりも★
死体の発見シーンこそ派手でしたが、事件の推理はエラリーがきめ細かく論理を組み立てて、地道に頭脳労働を進めていくコツコツ感が心地いい。
通常の捜査なら、犯人探しや犯人特定の手がかり探しに奔走するのでしょう。ですが、本作は人物がやけに多く、証拠になりそうな事柄もあれば関連なさそうな物もごたごたあって、面倒くさい★ 少し理屈っぽいけど、億劫がらず1つずつ丁寧に検証するエラリーは偉いです。
赤の他人から見ると、死者の尊厳というのは分からないのが本音ですが、殺人は公衆に対する迷惑行為だなとつくづく感じました★
そして、パパを助けつつ実は守られてもいる、エラリーの傍若無人さが眩しいです✧ この振る舞いは初期ならでは。後期作では人間味がついて苦悩するため、エラソーなエラリーを今のうち味わっておくに限ります★
くわしくは伏せますが、最後が実に劇的! 未読の方はこれからあの衝撃と快感に痺れるのね……と心底うらやましい。
- 感想投稿日 : 2024年3月9日
- 読了日 : 2017年11月9日
- 本棚登録日 : 2017年11月9日
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