Shrink~精神科医ヨワイ~ 7 (ヤングジャンプコミックス)

著者 :
  • 集英社 (2021年12月17日発売)
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本棚登録 : 234
感想 : 10
4

産後うつ編とDVに苦しんだ精神保健福祉士・真紀の過去編を収録。どちらも読んでいて胸が苦しくなるほど。逃げる勇気を持ち、外へ助けを求める。その踏み出す一歩が重要で、何よりも難しい。

産後ケアの社会資源活用は大切だね。ぼくも介護や自身の精神疾患において、包括支援センターの方やケアマネさんたちにどれほど救われたか。家族という殻を破れば、プロたちの力が借りられる。それは恥ずかしいことでもなんでもない。助けてくれる仕組みはたくさんあるんだから使っていい。

不安を感じた時にする5つの質問は、不安障害のぼくにも参考になった。主観から客観へと移り変わる流れがわかりやすく、自分でもやってみたい。産後クライシスも初めて知った。具体的な対策で不和を解消していくのが鮮やか。アドバイスと批判をせず聞くってシンプルなように見えて難しいんだよね。

DVに苦しんだ真紀が、弱井・陽美と出会う過去編も読み応えあった。考えないように支配されていく姿が痛々しい。陽美が真紀にかける言葉たちが真っ直ぐで好き。
「自分を何もできないちっぽけな人間だと思うのは真紀さんを虐げている人にそう思わされているだけだよ そのほうが都合がいいからね」

信じても裏切られ続け、何も期待できずに、それでも離れられずに生きていく。それを溶かしたのはどんな小さな約束でも必ず守るという積み重ね。約束は相手とするものじゃなく、自分とするものだという言葉を思い出す。相手を見て交わした約束は、相手によって守ったり破ったりしてしまう。相手と交わした「自分との約束」を守ることこそ、相手と自分への信頼へと繋がっていく。

真紀の心を開いた陽美。なぜ彼女は死んでしまったのか。知るほどに不可解さが募っていく。弱井のことを助けたいと考えている人たちは傍にいる。弱井自身の過去の傷を癒す時はいつ来るのだろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 漫画
感想投稿日 : 2021年12月20日
読了日 : 2021年12月20日
本棚登録日 : 2021年12月20日

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