テレキネシス山手テレビキネマ室 2 (ビッグコミックス)

著者 :
  • 小学館 (2005年12月26日発売)
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感想 : 11
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山手テレビの地下映写室、通称テレキネシスを根城にする社員・崋山。彼は悩んでいる人たちに映画を薦めてその背中を押していた。しかし、当の崋山もまた自身の過去のために山手テレビを離れられないようで──。

事故死した父・檜山監督の遺作『国民の手品師』。テレビの特番で発表されるはずが、そのフィルムは行方不明に。同映画のプロデューサーだった山根は、常務となってテレビ局に残っている。「映画なんて大嫌いだ。好きなのはテレビだ。」という崋山の言葉から取り組んだと思われる遺作。それを目にしたいと探す崋山だったが、局内は静かに不穏さを増していく。

権力闘争や社内での人間関係もヒリつくドラマがあって、会社員をテーマにしたドラマとしても面白い!局長と山根のやり合いはアツかったし、あのオチも痛快!崋山が映画にどっぷりハマることになったきっかけの話、崋山の恋物語なども味わい深い。実在の映画のストーリーやその歴史的背景まで丁寧に取り込んで活かしているのがすごい。

今回特に見たくなった映画は『紳士同盟』『オーシャンと11人の仲間』『ミスタア・ロバーツ』。
最後に好きなセリフを引用して終わります。

p.71,72
「恋は本性を隠して、お互いの幻想をお互いの中に見つけ合う行為………愛は、お互いの弱さやみじめさを曝し合い、それでも互いを嫌にならず受け止められるかを試す行為……」

p.131
「部下役にも才能は要るんです。その才能は、絶対に辞めないこと!オレ、会社は嫌いだけど仕事は好きです。だからどんな部署に行っても、絶対好きなことを見つけ出してみせます。」

p.162
「大人になるとどうなるんです?」
「人生が理不尽だと理解できる。希望をかなえるためには、失敗や恥をたくさん経験しなくちゃならないことがわかる。だから理不尽な人生を許せるし…他人を許せるようになる!」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 漫画
感想投稿日 : 2022年8月2日
読了日 : 2022年8月2日
本棚登録日 : 2022年8月2日

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