ナラタージュ (角川文庫 し 36-1)

著者 :
  • 角川書店 (2008年2月23日発売)
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本棚登録 : 9878
感想 : 926
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先生に恋する女子高生と妻との関係に問題を抱えていた教師の物語。

場面ごとの描写は個人的には好きだったが、登場人物に共感することが難しく、続きが気になるというよりは義務的に読むような形になってしまった。

葉山先生は優しい先生であるという出来事は幾つかあったものの、泉が先生を好きになるまでの過程が説明として少し出てきたのみで伝わりづらかった。読んでいる途中で「なぜ泉は先生のことが好きなんだろう?」と考える場面が多々あった。
最終的に先生は妻の方を選択したが、泉のことが好きなのにも関わらずなぜ愛せないのか、どうして最終的に妻を選択したのか、共感できないうえ理由が明確ではないように感じた。

私が読むのに時間がかかってしまったせいもあるが、なぜ葉山先生が奥さんと疎遠になってしまったのか忘れてしまうこともあった。

泉は両親がドイツに滞在しており、途中でドイツ旅行に行く場面なども含まれていたが、果たしてこの場面は必要であったのか疑問に感じた。両親もこの旅行の場面で登場したのみで、それ以外の場面で特に重要視されることはなかった。

最後に柚子ちゃんが自殺してしまった理由は衝撃的だったが何故かあまり印象に残らず、ブクログで他の方が感想を残しているのを見て思い出した。
特に泉については、柚子ちゃんが死んでしまったことよりも先生のことや小野くんのことを考えている描写が多かったためにそのように感じてしまったのかもしれない。

泉の気持ちの変化は掴みとれたものの、いまいち共感するには難しい小説だと感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年3月27日
読了日 : 2024年3月27日
本棚登録日 : 2024年3月27日

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