真夜中の相棒 (文春文庫)

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結局、サイモンはこれからずっと苦しむのだ。それは策を弄してジョニーを奪ったからでなく、ジョニーがマックに殉じ続けているからでもなく、ジョニーが、誰にでも同じだから。
ジョニーは誰にでも無垢な愛を向け、心からの敬意と従順を示し、けれども決して、心を分け合うことはない。自分の心さえ、全て与えてしまうから。相手の心の一欠けらでさえ受け入れようとはしないから。
彼をいちばん初めに拾ったマイクでさえ独りで死んでいったのだ。サイモンが独りでなくなることが、有り得る筈があるだろうか?
マックはそれに気づくことはなかった。気づかずに済んだ。だから幸せだ。ジョニーに愛され必要とされた幸せだけを抱えて死んでいった。
ジョニーも幸せだ。いつだって怖い夜にはベッドに招きいれ、アイスクリームを買って映画に付き合ってくれる男がいる。
けれど、サイモンには失われた過去しかない。

この後、彼はどうなるのだろう。きっと同じように身を持ち崩し、いつか誰かにジョニーを奪われるのだ。その未来を確信して、サイモンは怯え続けなければならない。
原題のTriangleは秀逸。

2008年現在、復刊を心より願っています。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外の作家
感想投稿日 : 2011年8月29日
読了日 : 2005年1月
本棚登録日 : 2005年1月31日

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