もしこのタイトルで著者が荒俣宏氏じゃなかったとしたら、僕は相当の疑念を抱きながら紙を繰るに違いない、そんな一冊。この本を読むうえでもっとも頼りになるのは博覧剛毅な知識でも、それがいかに著者のなかで組織されているかということでもないのです。ポイントは著者がそういったものを社会のなかでどういった位置において把握しているかということ、つまり著者のバランス感覚の良さ、ないし眼差しの温かさです。そうなのです。神秘学は学問でも科学でもない、僕はそれを確信しているけれども、だからこそ知っておきたい世界の違うアレ、人間の茫漠とした未知のアレを覗かせてもらえる魅力的な本です。虚しさすらそこでは高潔な姿を備えるのだ。
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- 感想投稿日 : 2005年7月13日
- 本棚登録日 : 2005年7月13日
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