原田宗典は、昔から人気があったけど、昔からいったい彼の何がいいのかわからない。 キライでもないし、おもしろいと思うけど、そこまで刺激はないと思っていた。
この本も刺激はないけど、この歳になると考えさせられる題材。
23歳くらいの大根役者の劇団員の話。
このままあと10年同じことを続けていても、まだまだ彼はうだつがあがらない状態だろう。
この主人公みたいには私はなれない。
奴隷にもなれないし、嫌なバイトも続けられない。
嫌な上司や先輩とも付き合いたくない。
自分の中に居場所を探すようになった。それも歳のせいなのかも。
私も自分が何者なのかはまだ分からないし、たぶん何者でもないと思う。
「どこかに帰属して、何かを証明することがどうしても必要だった」
劇団というあやふやなものに帰属することで自分を確認する青年。
解説の宮沢章夫氏の言葉では、「私たちは茫然と、この空間に立っている。寄りかかるべきものは何もなく、ただ不安定なまま、自らの〈身体〉をたよりにここに立つだけだ。それが、私たちがみている現在の姿である」
だって。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2012年5月11日
- 読了日 : 2012年5月11日
- 本棚登録日 : 2012年5月11日
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