何者でもない (講談社文庫 は 36-3)

著者 :
  • 講談社 (1995年10月1日発売)
3.30
  • (8)
  • (17)
  • (60)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 256
感想 : 14

原田宗典は、昔から人気があったけど、昔からいったい彼の何がいいのかわからない。 キライでもないし、おもしろいと思うけど、そこまで刺激はないと思っていた。
 この本も刺激はないけど、この歳になると考えさせられる題材。
23歳くらいの大根役者の劇団員の話。
このままあと10年同じことを続けていても、まだまだ彼はうだつがあがらない状態だろう。

この主人公みたいには私はなれない。
奴隷にもなれないし、嫌なバイトも続けられない。
嫌な上司や先輩とも付き合いたくない。
自分の中に居場所を探すようになった。それも歳のせいなのかも。


私も自分が何者なのかはまだ分からないし、たぶん何者でもないと思う。
「どこかに帰属して、何かを証明することがどうしても必要だった」
劇団というあやふやなものに帰属することで自分を確認する青年。
解説の宮沢章夫氏の言葉では、「私たちは茫然と、この空間に立っている。寄りかかるべきものは何もなく、ただ不安定なまま、自らの〈身体〉をたよりにここに立つだけだ。それが、私たちがみている現在の姿である」
だって。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2012年5月11日
読了日 : 2012年5月11日
本棚登録日 : 2012年5月11日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする