[作品]
1896年。原題「The Island of Dr.Moreau」
H・G・ウェルズ 著
[内容・あらすじ]
海難事故に遭遇したが運よく一命を取り留めた主人公のエドワードであったが、成り行きから謎の科学者モロー博士の住む島にたどり着く。
化け物のような風貌の島の住民や夜な夜な聞こえる叫び声がきこえる怪しい島。その島でモロー博士の手によって密かに行われていた実験とは、動物を改造し人間に近づける研究だった。
[感想]
全編通して短くかつ読みやすかった。物語終盤の狂気に満ちた展開は、ハラハラすると同時に動物と人間、自然界と人間界の共通点と相違点を考えさせられた。他にも、モロー博士の動物を人間に近づける理由である、人間の真理を解明するためというヤツは現代の科学全般に通じる考え方なのでは?と思い感心した。
本作で何より驚きなのが、発表された年だ。1896年といえば日本で言えば日清戦争が終わった直後である。だからどうした?という話だが、ついこの間までちょんまげを結っていた人間がぞろぞろいるようなそんな昔にこれほど科学と空想をたくみに掛け合わせた作品が存在するということは、単純にすごいと思うという話である。
本作は100年前の作品だが、我々が享受している様な文化文明も100年後の人類には驚きと感動を持って受け入れられるのだろうか?もしそうなるなら自分自身とはあまり関係ない気がするが、うれしいものだ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外 小説
- 感想投稿日 : 2013年6月22日
- 読了日 : 2013年6月5日
- 本棚登録日 : 2013年6月5日
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