お弁当は“一人一個ずつ持ってくる「家庭」”(林真理子「笑う弁当」より)。
41篇のお弁当のエッセイは41人の家庭のお話でもある。
駅弁や空弁なんてものも出てくるが、幼い頃の思い出や家族の話、いまの暮らしぶりなどが必ずと言っていいほど語られるので、やっぱりお弁当は「家庭」なのだなぁと思う。
阿川さん父娘が、それぞれのエッセイで同じお話(少しずつ違うところがかえってリアル)をしているのがその象徴のよう。
いいなぁと思ったのは、沢村貞子さん。
籐の籠に塗りの三段重ねのお弁当は素敵すぎて、私もぜひお相伴をと焦がれる。
大好きな黒柳徹子さんが登場したのもうれしく、さらに徹子さんらしい自由さを感じるエピソードに思わず笑みがこぼれる。
百閒先生の「無塩の握り飯」は、件のおにぎりよりゆで卵のお話にクスリ。
「阿房列車」を久しぶりに読みたくなった。
私自身のお弁当の思い出は、残念ながらいいものは少ない。
悪い思い出というか、他人が聞いたら笑える話(当事者にとっては笑えないよ……となるのだけど)のほうが圧倒的に多い。
ある程度大きくなってからは、お弁当は「作ってもらうもの」ではなく、自分で「作るもの」だったので、他人のお弁当についてのお話がどれも興味深くておもしろかった。
差し挟まれるお弁当の写真も「食べてる人・作った人」=「家庭」が見えるようでなんだかあったかい気持になれた。
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読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
アンソロジー
- 感想投稿日 : 2014年6月14日
- 読了日 : 2014年6月12日
- 本棚登録日 : 2014年6月14日
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コメント 4件
vilureefさんのコメント
2014/06/16
九月猫さんのコメント
2014/06/18
vilureefさんのコメント
2014/06/18
九月猫さんのコメント
2014/06/18