ときめく縄文図鑑 (ときめく図鑑+)

著者 :
  • 山と渓谷社 (2016年12月9日発売)
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感想 : 14
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山と渓谷社の「ときめく図鑑」シリーズで、何故か「縄文」が出ていた。紐解くと、案外トキメク内容だった。

薄い本ではあるが、構成としては充実していた。土偶だけを「美」の視点から眺める本は既に出ている(「土偶・コスモス」MIHO MIUZIUM編)。しかし本書は土偶の他に、土器や動物形土製品や土版、装飾品などの「美」を、縄文ファンに寄り添った文章で紹介している(誉田亜紀子は研究者ではなく縄文ライター)。縄文の美は土偶だけではない!ということが、とっても説得力持って展開された。

ライターが書いているので、所々断定しすぎなのでは?というところはある。けれども「土偶を読む」(竹倉史人)のように、考古学会に物申す的なスタンスではないのでスルーできる。やがて本格的に研究を始めたら壁にぶち当たるとは思うが、今はこの「センス」で楽しめば良いと思う。

以下面白かったの遺物をピックアップ♪
⚫︎角偶(北海道・戸井貝塚・函館博物館・後期)
ジャミラ型にブツブツ模様。御守りなのか?
⚫︎土偶(富山県・北代遺跡・埋蔵文化財センター・中期)
うんこ型。かなりキュート。瞳の穴には綺麗な石があったそう。
⚫︎釣手土器(富山県・堺A遺跡・埋蔵文化財センター・後期)
灯り入れ。海に面した処。吊るして使ったようだ。
⚫︎顔面付釣手形土器(長野県・御殿場遺跡・教育委員会・中期)
弥生よりもはるかに複雑な装飾がされてはいるが、用途としては弥生時代終末期に現れた手焙形土製品に似ている。
⚫︎深鉢(山梨県・殿林遺跡・県立考古博物館・中期)
息を呑む美しさ。左右対称流線形模様。
⚫︎銛(北海道・有珠モシリ遺跡・文化庁・続縄文)
近代アイヌに引けを取らない美きモリ。神に捧げたのか?
⚫︎四つ足の人面獣(宮城県・沼津遺跡・東北大学・後期)
ほとんど「件(くだん)」の如し。まさかね‥‥。
⚫︎人面付石製品(福島県・冷水遺跡・個人・後期)
こちらは、海獣に顔説と、男性シンボルに顔説があるそう。誉田さんは後者。顔がギリシャ風美男子に見えるとか。
⚫︎胸飾り(栃木県・根古谷台遺跡・教育委員会・前期)
装飾品にも流行があったそう。まぁそうだよね。
⚫︎腕輪(青森県・是川中居遺跡・是川縄文館・晩期)
これは漆塗だが、素材や色に違いがあれども、形は一万年間弥生時代まで変わらないというのも凄い。
⚫︎縄文の食
縄文時代は肉食が主食ではなかった。基本はドングリ、クルミ、クリなど炭水化物が主食だった。この前行った広島県帝釈峡縄文遺跡博物館でも同じことを言っていた。森の恵みから平地の稲作へ、彼らの「神」はどのように変化したのだろう?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: た行 ノンフィクション
感想投稿日 : 2022年5月25日
読了日 : 2022年5月25日
本棚登録日 : 2022年5月25日

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