深ぼり京都さんぽ

  • 集英社インターナショナル (2017年7月5日発売)
3.35
  • (2)
  • (12)
  • (18)
  • (0)
  • (2)
本棚登録 : 140
感想 : 17
4

11月1-3日、京都を旅した。2日目は市内のこの本をガイド本にすることに決めていた(遺跡博物館は休館日だからである)。ところが、あいにくの雨!しかもある目的地に着いたところで、大失敗に気がつく。

以下は、旅レポートから(関連するところだけ)転載。(文庫本の感想は既に書いたので、新たに単行本に書いています。レポートには本来写真をつけていますが、こちらにはつきません。想像で補ってください。以下書名は「さんぽ」に統一。因みに本書は「深ぼり京都さんぽ」だが、文庫本は「京都深ぼりさんぽ」。微妙に題名を変えている^_^;)


(略)
二条城。国宝、二の丸御殿。ともかく豪華な造り。中は撮影禁止のために写真はないが、「さんぽ」に書かれていた豪華な豪華な餝(かざり)金具はしっかり見させてもらった。ひとつひとつの鍵隠しなどの餝金具はその作業だけではなくて、その数に圧倒される。全ての柱に上下三つくらいあるから、もしかしてその数は数千を数えるのではないか?(「さんぽ」には大型は数百枚と書いていた)気の遠くなるような作業だったのではないか?欄干彫刻もすごかった。もちろん、狩野派の障壁図の多さにも腹がいっぱいになる。大広間での慶喜の大政奉還の人形などもまぁ面白かった。よく考えたら一度来ていた。おそらく小学校の修学旅行できた。鶯張りのキュキュと鳴る廊下のことしか覚えていなかったけど。あの頃はよく鳴ったけど、今日は雨のせいかほとんど鳴らなかった。

(略)

唐門の彫金、透かし彫りはホント職人技だ。長寿を意味する「松竹梅に鶴」、聖域を守る「唐獅子や竜」を、極彩色に彫って飾っている。あまりにも色鮮やかだと思ったら2013年に修復したばかりらしい。ともかく、名前の残らない職人たちの独壇場ではある。
(「さんぽ」には「瓦は瓦職人、檜の樹皮を使った屋根は檜皮葺職人、その下の唐破風に塗られた漆は漆職人、彫刻は木彫師、そして餝金具は金具職人が手がけとるんや!」と紹介していた)
京都には未だこれだけの職人が生きている。しかし次の修復の時には、これが可能な保証は何処にもない。

(略)

それでも二条城だけで午前中を使ってしまった。この後、「さんぽ」を使って京都ぶらぶらをするつもりだったが、ウエストカバンの中身を見て愕然とする。今日1番の失敗である。「さんぽ」と思っていたが、同じ書店のカバーをかけた他の文庫本だった(旅に持ってきた「ホワイトラビット」でした)。何やっているんだか!そうは言っても、行くべき場所だけは知っている。千本中立売ぶらぶらである。バスを待って、そこの停車場でとにかく降りる。

いったい何処なのか。この通りなのか?

(略)

この後、なんとなく此処が怪しいと細い路地に入ってゆく。当たった。昔の遊郭の匂いがする。そしたら聞いたような店構えがあった。「江畑」。

コレは「さんぽ」じゃない。その前に読んだ「遊郭に泊まる」に載っていた、元遊郭の焼肉屋さんだ。当たりだ。この辺りが映画「五番町夕霧楼」の舞台だ。

この店の構えには、まだまだ遊郭の名残りがある。

まだ店を開けていない。けれども、暖簾越しに中を少し写させてもらった。あの本には、この奥に座敷牢の名残りがあるらしいと書いていた。この店は四番町ではあるが、では周りはどうなっているんだろ。

「さんぽ」にも載っていた千本日活もちゃんとあった。今でも現役だ。それだけで凄い。

しかも安い。

そして五番町を物色すると、明らかに遊郭名残りの「意匠」があった。

遊女或いは弁天様の鏝絵に鍾馗?の鏝絵。どういう願いがかけられて、どういう想いで見られてきたのか?

(略)
以上「深掘り京都散歩」した結果。
こういうディープな千ブラが出来た一方で、ホテルに帰って「さんぽ」を見れば、「嗚呼!あそこも面白そうだったのに!」という店が山ほどあった(例えば、千ぶら内の古本屋さん、様々な謎の店、京都伝統産業ミュージアム)。これだけで午後が潰れた筈だ。でも、もう行けない。旅とは、たいていはこういうモノなのだ。


読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: は行 ノンフィクション
感想投稿日 : 2020年11月9日
読了日 : 2020年11月9日
本棚登録日 : 2020年11月9日

みんなの感想をみる

コメント 4件

おじょーさんのコメント
2020/11/10

「江畑」はホルモンが充実していて人気のお店です。またリーズナブルでありがたい。以上、京都住みからの情報でした。

kuma0504さんのコメント
2020/11/10

おじょーさん、はじめまして!コメントありがとうございます!
おゝ江畑を知っているんですね。もしかして、千本中立売近くの方でしょうか?レポートには、この他に停車場でバスを降りた後に、極楽湯まで行って「此処じゃないな」と思い、北野商店街に入り、宮本武蔵の吉岡一門決闘場の立て看板を観た後、昭和の雰囲気まんまんの喫茶店に入って800円のランチを頼んだら、ホント京都の昼食というランチ(炊き込みご飯にニュー麺、ふた鉢のおばん菜)が出てきて感激しました。

焼肉屋美味しそうだったんだけど、もう雨に濡れて早く帰りたかったので帰りました。この他にいかにも元遊郭という感じのすっぽん屋もありました。

おじょーさんのコメント
2020/11/10

住んでいるのはずっと西の方でただの京都市民です。たまたま先々週に行った所だったので思わずコメントしてしまいました。
元遊郭なのは知ってましたが詳しく店内を眺めた事はないので次に来店する時はじっくり見ていこうと思います。
因みに千本日活前にはパーキングがあって、ここに車を止めて食べに行きました。

kuma0504さんのコメント
2020/11/10

なるほど!
江畑の遊郭名残りは、格子もそうですが、玄関先の江畑名のある提灯も独特のものでした。新しいので、まさか遊郭時代のものではないとは思うのですが、昔の技術が生きているのかな、と思いました。

ツイートする