11月1-3日、京都を旅した。2日目は市内のこの本をガイド本にすることに決めていた(遺跡博物館は休館日だからである)。ところが、あいにくの雨!しかもある目的地に着いたところで、大失敗に気がつく。
以下は、旅レポートから(関連するところだけ)転載。(文庫本の感想は既に書いたので、新たに単行本に書いています。レポートには本来写真をつけていますが、こちらにはつきません。想像で補ってください。以下書名は「さんぽ」に統一。因みに本書は「深ぼり京都さんぽ」だが、文庫本は「京都深ぼりさんぽ」。微妙に題名を変えている^_^;)
(略)
二条城。国宝、二の丸御殿。ともかく豪華な造り。中は撮影禁止のために写真はないが、「さんぽ」に書かれていた豪華な豪華な餝(かざり)金具はしっかり見させてもらった。ひとつひとつの鍵隠しなどの餝金具はその作業だけではなくて、その数に圧倒される。全ての柱に上下三つくらいあるから、もしかしてその数は数千を数えるのではないか?(「さんぽ」には大型は数百枚と書いていた)気の遠くなるような作業だったのではないか?欄干彫刻もすごかった。もちろん、狩野派の障壁図の多さにも腹がいっぱいになる。大広間での慶喜の大政奉還の人形などもまぁ面白かった。よく考えたら一度来ていた。おそらく小学校の修学旅行できた。鶯張りのキュキュと鳴る廊下のことしか覚えていなかったけど。あの頃はよく鳴ったけど、今日は雨のせいかほとんど鳴らなかった。
(略)
唐門の彫金、透かし彫りはホント職人技だ。長寿を意味する「松竹梅に鶴」、聖域を守る「唐獅子や竜」を、極彩色に彫って飾っている。あまりにも色鮮やかだと思ったら2013年に修復したばかりらしい。ともかく、名前の残らない職人たちの独壇場ではある。
(「さんぽ」には「瓦は瓦職人、檜の樹皮を使った屋根は檜皮葺職人、その下の唐破風に塗られた漆は漆職人、彫刻は木彫師、そして餝金具は金具職人が手がけとるんや!」と紹介していた)
京都には未だこれだけの職人が生きている。しかし次の修復の時には、これが可能な保証は何処にもない。
(略)
それでも二条城だけで午前中を使ってしまった。この後、「さんぽ」を使って京都ぶらぶらをするつもりだったが、ウエストカバンの中身を見て愕然とする。今日1番の失敗である。「さんぽ」と思っていたが、同じ書店のカバーをかけた他の文庫本だった(旅に持ってきた「ホワイトラビット」でした)。何やっているんだか!そうは言っても、行くべき場所だけは知っている。千本中立売ぶらぶらである。バスを待って、そこの停車場でとにかく降りる。
いったい何処なのか。この通りなのか?
(略)
この後、なんとなく此処が怪しいと細い路地に入ってゆく。当たった。昔の遊郭の匂いがする。そしたら聞いたような店構えがあった。「江畑」。
コレは「さんぽ」じゃない。その前に読んだ「遊郭に泊まる」に載っていた、元遊郭の焼肉屋さんだ。当たりだ。この辺りが映画「五番町夕霧楼」の舞台だ。
この店の構えには、まだまだ遊郭の名残りがある。
まだ店を開けていない。けれども、暖簾越しに中を少し写させてもらった。あの本には、この奥に座敷牢の名残りがあるらしいと書いていた。この店は四番町ではあるが、では周りはどうなっているんだろ。
「さんぽ」にも載っていた千本日活もちゃんとあった。今でも現役だ。それだけで凄い。
しかも安い。
そして五番町を物色すると、明らかに遊郭名残りの「意匠」があった。
遊女或いは弁天様の鏝絵に鍾馗?の鏝絵。どういう願いがかけられて、どういう想いで見られてきたのか?
(略)
以上「深掘り京都散歩」した結果。
こういうディープな千ブラが出来た一方で、ホテルに帰って「さんぽ」を見れば、「嗚呼!あそこも面白そうだったのに!」という店が山ほどあった(例えば、千ぶら内の古本屋さん、様々な謎の店、京都伝統産業ミュージアム)。これだけで午後が潰れた筈だ。でも、もう行けない。旅とは、たいていはこういうモノなのだ。
- 感想投稿日 : 2020年11月9日
- 読了日 : 2020年11月9日
- 本棚登録日 : 2020年11月9日
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