実はこの春私は、本で床は抜けてはいないが、大量の本の引越しと、整理に頭を悩まし、実は未だに約9割整理に手をつけていないという問題を抱えていて、床抜け問題もまだこれからということで、この本を読んで「他人の不幸」を愉しみながら、「ひとごとじゃない、他人事じゃない」と呟いていた。
たいへん参考になる所、多々。蔵書2000冊あまりで床抜けの危機は、私の蔵書とそう変わりなく、しかし安普請の木造アパートじゃないからまだ大丈夫だろう。とか、でも真ん中に本を置いた方が安心かな、とか。
蔵書家(というほど私は大した者じゃないが)の悩みを、草森紳一、立花隆、井上ひさし、内澤旬子、田中真知、大野更紗、内記稔夫、松原隆一郎その他いろんな人の本棚をノンフィクション作家らしく、こつこつ事実を集めて、幸か不幸か最後は自分の不幸話で綺麗にまとめた。
彼が妻との別居のために必要に迫られて本を処分する過程が、実は1番参考になった。今年の春、途中でめんどくさくなって解体業者に手渡して、更地になるまで見ることもしなかったあの日々を思い出した。それでも手元に残った約2000冊〜3000冊の本の行方を如何にす可きか。もっと必要に迫られたならば、著者のように業者に電子化させるという方法もあるかもしれない。ところが、彼は1130冊を電子化して14万6380円もかかっている。やはり暫くはこの選択はない。彼は残した本は500〜600冊だった。
やがては「いかに遺すか」という課題がやってくる。その時は、考え方として、先達の蔵書家のやり方をまた参考にするかもしれない。
最後に。思わぬ引越し作業で費用が飛んだであろう著者だが、この本の増刷はたった一ヶ月と少しで三刷まで行っている。書庫は持てないだろうけど、良かったね、と言ってあげたい。
2015年6月16日読了
- 感想投稿日 : 2015年6月25日
- 読了日 : 2015年6月25日
- 本棚登録日 : 2015年6月25日
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