剣の騎士 (ハヤカワ文庫 SF 470 紅衣の公子コルム 1)

  • 早川書房
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本棚登録 : 78
感想 : 5
4

マイクル・ムアコックのヒロイックファンタジー。
衰退しつつある知的種族ヴァドハーとナドラーは争っていたが、これまで彼らが獣として見下していた新興種族の人類<マブデン>にともにに滅ぼされてしまう。
その殺戮の中、ただ一人生き残ったヴァドハー属の生き残り紅衣の公子コルムの復讐譚。
主人公のコルムは、マブデンに家族を虐殺され、自らも残虐な拷問により左目と左手を失うが、辛くも難を逃れる。傷ついた体を介抱してくれたマブデンの公女ラリーナと愛し合うようになるが、マブデンの魔の手が再び彼を襲い、否応なく復讐と愛する人を守る戦いに身を投じることになる。

ムアコックの作品は、エルリックサーガしか読んだことがなかったが、エターナルチャンピオンという概念で

統一された世界観のためか、エルリックでも見たような固有名詞が散見された。マブデン(この物語でも人類は獣的な存在として見下されている様だ)とか混沌の神アリオッチ等。

物語の終盤で、古の神の目と手を身につけたコルムが剣の騎士である混沌の神アリオッチを撃退してしまったのには驚かされた。

ムアコックの紡ぐヒロイックファンタジーは幻想的で強烈なイメージに満ちている。
あたかも神話の様な物語であり、様々なメタファーや呪術的ヴィジョンで溢れかえっている。
たぶん作者は、古のシャーマンのように様々な神秘的ヴィジョンを見る人なのかなと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ファンタジー
感想投稿日 : 2022年8月20日
読了日 : 2022年8月20日
本棚登録日 : 2022年8月20日

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