・臨床の場で自殺予防に取り組む精神科医による著作。
・私は、身の回りで自殺が起こったという経験はないが、自殺はどの社会階層でも発生しうると気付いた。つまり、当然ながら今後も起こらない保証はない。そして、既遂後に後戻りはできない。
・日本に限らず世界的に見ても中高年男性の自殺が目立つという。今後も高齢化が進む日本では、自殺予防の重みはいっそう増すことだろう。また、男性の自殺率の高さが職場に起因すると考えれば、今後は社会進出をより多く経験する女性にも注意を払う必要があると考える。さらに、大きな社会変動により、若年層の自殺が世界的に見ても増える傾向にあるという。私たちの生きる現代日本もまさに変動のさなかにある。
・自殺は、多様な要因が複雑に絡み合って発生する。また、一定の準備期間を経て実行に至るケースが多い。精神状態、身体上の健康状態、極端な言動の変化など、サインを身落とさないことが肝要である。
・深刻な相談を持ちかけられたとき、当人は悩んだ挙句に相談相手を選び抜いていると考えたい。「本題」とは一見無関係な話題から入る場合もあるが、かねてから「兆候」が感じられる場合は、丁寧に傾聴することが不可欠となる。相手が言葉を紡ぎ出せなくても、沈黙を共有することもまた大切である。
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- 感想投稿日 : 2011年8月10日
- 読了日 : 2011年8月10日
- 本棚登録日 : 2011年8月10日
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