銃声が「パン」と鳴りヘッドライトの光跡が描かれ、大友克洋によってマンガが新しい表現に踏み出した。198×年に起こった(架空の)中ソ戦争の「気分」を描くにはこういう描き手が必要だったのだ。今日のマンガがリアルな肌触りを描けるようになったのはここから始まったように思う。湾岸戦争以降今日に至るまで「対岸の戦争」に抱くバーチャルな感覚とも、ヒッピームーブメントとも違う、本作の「戦争への気分」は、本格的なサブカル消費文化に入る前の80年初頭という時代のまだ70年代の残り香漂う空気を感じられて懐かしい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
コミック
- 感想投稿日 : 2011年4月29日
- 読了日 : 2011年4月29日
- 本棚登録日 : 2011年4月29日
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