運命の女の子 (アフタヌーンKC)

  • 講談社 (2014年8月22日発売)
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本棚登録 : 1084
感想 : 70
5

今回も、ヤマシタ先生に一本背負いでコンクリに叩き付けられ、激痛で動けないトコに顔面へ拳をブチこまれ、無様に失神した
ホント、ヤマシタ先生と互角に殴り合って、TKOを勝ち取れるのは星の数ほどいる漫画家の中でも阿部共実先生か、ふみふみこ先生くらいじゃなかろうか
気持ち悪い、を通り越して、おぞましい、そう思ってしまう漫画もまた珍しい
シンプルな帯に書かれてある通り、私の心は潰された、一思いにグシャリと、じゃなく、わざと時間をかけられてミチッミチッと
肌を粟立たせながら、吐き気を堪えながら読み続け、閉じて一服した後、しみじみと思ったのは、男の女に対する、好意でも嫉妬でもない、醜悪だが確かに芽生える、自分を傷つける感情を、男の読み手を悶え苦しませるほど鮮やかに描いた『きみはスター』、ファンタジーな設定を基盤にし、青臭いけどピュアな恋愛を匂わせつつ、青春独特のありきたりな葛藤を濃厚に書き、好ましい意味で気の抜けるラストに着地した『不呪姫(のろわれずひめ)と檻の塔』は、ハッキリ言って『無敵』に喰われてしまっている
どちらも、他の作品集に収録されていれば、確実にトップに挙げていた、そう確信させるだけの高品質
けど、『無敵』とは格が違い過ぎた
今まで読んできたヤマシタ先生の作品の中で、最も寒気が走った
理屈じゃないおぞましさがある。そう感じる理由を無理矢理に付けるなら、リアリティがあるからだろうか? 幼稚な思考で、人に出来ない、やっちゃいけない事を簡単にやったj分を凄い、と勘違いする、どこにでもいる最低な人間を、ヤマシタ先生のなまじ美麗な画で描かれ、動かされると、「うわっ」って飛び退きたくなる
由里本美鳥に対する悪印象、やや強引な例になってしまうが、皆さん、苦手な生き物、蛇やミミズ、蜘蛛、蛙、そんで、Gと個人で違うと思うけど、それを前にした時、全身を硬直させる強烈な嫌悪感に近しい
何で、こんな憧れない純粋悪のキャラを生み出せるのだろう? 偏見とか何もない上での発言だが、女性だから?
読み終わった後、表紙を飾っている彼女の瞳の中で光っているそれが怪物に見えてきてしまう
毎度、読んでクタクタ、感想を書いてヘトヘトになるけど、きっと、次回作も懲りずに読んじゃうんだと思う。私も含め、ヤマシタ先生の作品のファンは自分が中毒に陥っている自覚がちゃんとある、と思う

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック(講談社)
感想投稿日 : 2014年9月15日
読了日 : 2014年9月14日
本棚登録日 : 2014年8月22日

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