ごほうびおひとり鮨 2 (ヤングジャンプコミックス)

著者 :
  • 集英社 (2017年10月19日発売)
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感想 : 2
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『お酒は夫婦になってから』を読むと、美味しいカクテルを呑みたくなる
『いぶり暮らし』を読むと、燻製に挑戦したくなる
『桐谷さん、ちょそれ食うんすか!?』を読むと、ちょい危ない食材にチャレンジしたくなる
なので、この『ごほうびおひとり鮨』を読んで、カウンターの御鮨屋さんに行きたくなってしまうのは、何ら不思議ではない
読み手の衝動を刺激するだけの力が、間違いなく、これにはある
回ってない鮨屋っつーと、妙に壁が高い気がしていたけど、この『ごほうびおひとり鮨』を読むと、そうでもないな、と思えてくる
勿論、毎日は行けない。むしろ、毎日だと、ありがたみが薄まってしまう
タイトルにもある通り、“ごほうび”だからこそ、良いんだろう
仕事で良い結果を出せた自分への労いでもいいし、逆に、仕事でヘマしちゃった自分を励ます為でもいい
寿司くらいで、テンションが上がるなんて貧乏舌だなぁ、と言われても気にしちゃいけない。むしろ、日本人が、ちょっと良いお鮨に気分が高揚しなくなったらヤバいだろう
ストーリーの軸がブレないのが、とても、好感が持てる。変に恋愛ドラマが展開すると、きっと、食欲が減退してしまっていたな
ただただ、お鮨の美味しさに、藍子さんがメロメロになる、ここがいいのだ
そんな藍子さんの、飾らない、良い意味で素人感丸出しのリアクションも、読み手に鮨の美味しさを存分に伝えてくれている
何と言うのか、食系のエッセイコミックを読んでいる気分にもなる。王嶋先生が、取材で恥を掻きまくりながらも、経験値を積んでいるからこそ、この魅力が生まれているのは間違いない
どのお店も「行きたいなぁ」と思う名店ばかり。個人的に、興味が湧いたのは、十八喜目「鮨 一篠(後編)」で出た、アオヤギとコバシラの軍艦巻き。同じ貝でも、違う美味しさを引き出す、職人の腕が感じられそう。握り以外だと、十一喜目「鮨しら澤(前編)」の煮あわびだった。ただでさえ美味しいのが鮑。それを、鮑の出汁で煮るって、反則か、とツッコみたいレベル。こういう、歴史を感じさせる味が分かる大人になりたいもんだ
この台詞を引用に選んだのは、おいおい、と思ってしまったので。こんな清々しい表情で言う事実じゃないだろうに。ただ、感心っつーか、尊敬に近いものはあった。自分が好き、極めたい事に、お金を惜しまず、気持ちよく使う、それはある意味、男らしさだ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック(集英社)
感想投稿日 : 2017年11月25日
読了日 : 2017年11月22日
本棚登録日 : 2017年10月19日

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